善光寺地震によるねじれではなく、匠が予測したもの
善光寺本堂には108本の柱があります。この数は、人間の煩悩の数が全部で108つあると仏教で言われていることによると言われています。
ところで、その本堂の柱ですが、入り口にある柱が大きくねじれているのは有名です。
特に、正面左脇の柱が非常に大きくねじれています。(写真2枚目)
このねじれは、弘化4年(1847)に起きた善光寺地震と呼ばれている大地震の際にねじれたものと伝えられてきました。この善光寺地震は推定マグニチュードが7.4という、大変大きな地震です。
その大地震に耐えた本堂から、この柱を俗称して地震柱と呼ぶようになりました。
しかし、最近ではこのねじれは善光寺大地震の際にできたものではない、という見方が一般的です。
仮に、地震によるねじれの場合、どの柱も同じ方向にずれるはずですが、正面の柱は互い違いにねじれていると言うのです。
しかも、二本が必ずセットでねじれによる回転を打ち消し、動かないようになっていることが明らかにされています。
つまり、これは匠の知恵で、木の性質を読んで、狂い(ねじれ)を予測して木材を使っているものだと言います。
現本堂が造られる際、完全に乾いた木材を使うことが困難な状況であったため、工事を行った匠が木材のねじれを見越して、左右の柱で逆のねじれになるように柱を設置したと考えられています。まさに、匠の知恵をここに見ることができるわけです。
本堂に行ったら柱を良く見てください。ところどころにねじれを発見することができます。これも、大きなみどころのひとつといえるでしょう。
国宝善光寺の見どころ一挙紹介