経蔵(輪廻塔)

善光寺経蔵



国の重要文化財に指定されている経蔵(きょうぞう)

経蔵(きょうぞう)は本堂に向かって東側に見える建物です。

【追記2018年3月】
※経蔵は修理を行っていたのですが竣工し、拝観可能です。このページ下に情報を追加しました

経蔵(きょうぞう)

経蔵は宝暦5年(1755)に造り始め、同9年(1757)に完成した歴史ある建物であり、宝形造りで正面、奥行きともに15.4メートルの正方形の建物です。

内部は石敷きで、中央に八角の輪蔵があります。

輪蔵は、水平に柱が角のように出ていて、押すと心棒をめぐって独楽(こま)のようにくるくる回転するようになっています。

輪蔵の中には、鉄眼黄檗版一切経(6771巻)が収められています。

経蔵にある八角の輪蔵

経文を読まなくても輪蔵を回すだけで、お経を読んだことになり、功徳をもたらしてくれると言われています。

ただし、扉が開けられるのは正月やお盆、彼岸に限られています。

(2枚目の写真の内部に見えるのが輪蔵です。金網によって内部に入ることが出来ないようになっているのが分かると思います)

経蔵前にある輪廻塔

経蔵の中には、輪蔵のほかにも伝教大師や慈覚大師像、中国で輪蔵を発明した傳大士像、釈迦三尊像、如意輪観音などが安置されています。

経蔵の前には輪廻塔があります。(写真3枚目)

輪廻塔には「南無阿弥陀仏」の文字が刻んだ石車がついており、これを回すことで功徳を積むことができると言われています。

誰でも回すことができますので、是非回してみてください。意外と固くて簡単には回せないかも知れません。なお、輪廻塔は注意深くしないと見落としてしまうことがあります。

経蔵の拝観

経蔵は長いこと修理が行なわれており、中に入るということはしばらくできませんでした。修理竣工によって、現在は常時拝観が可能となっています。

経蔵の拝観について

経蔵の拝観は有料で、拝観券300円が必要です。ただし、善光寺本堂の内陣などを参拝できる共通券もありますので、善光寺を満喫するなら共通券を購入するとお得です。

善光寺経蔵の画像
善光寺経蔵の画像
善光寺経蔵の拝観券画像
善光寺経蔵の拝観券画像

経蔵の限定御朱印

善光寺では、最近、御朱印に力を入れているようで、限定御朱印というものが期間限定で登場することがあります。

2018年正月には、経蔵も修理竣工記念ということで限定御朱印をいただくことができました。

善光寺経蔵の限定御朱印画像

柄物の半紙に書かれた状態で販売されたもので、価格は500円でした。現在、経蔵の御朱印をいただくことはできません。

経蔵の限定御朱印(講堂めぐり限定 令和元年5月)

令和元年を迎え、お堂のみで頒布された限定御朱印です。

経蔵をお参り後、1枚500円で購入することができました。

この限定御朱印は「善光寺諸堂めぐり限定御朱印」と呼ばれ、シリーズ形式となっています。5つのお堂(山門・経蔵・本堂・忠霊殿・雲上殿)で集めた御朱印を並べると、善光寺の古地図浮世絵をモチーフにしたオリジナル御朱印紙に書かれており、5種類を横並びにつなげると1枚の絵になります。

善光寺の経蔵(講堂)の外観写真

経蔵で参拝後、限定御朱印をいただきました。

善光寺経蔵の限定御朱印画像

経蔵参拝時に配布された資料には、経蔵について次のような説明がされていましたので紹介いたします(配布資料より引用)。

配布資料より

皆様、本日はようこそ善光寺経蔵にお詣りくださいました。

この建物は、屋根は檜皮葺き 寄棟の頂に火炎宝珠(かえんほうじゅ)をのせる五間四方(ごけんしほう)宝形(ほうぎょう)造りの経蔵で、今からほぼ258年前の宝暦9年(1759年)に落成いたしました。正面、奥行きとも15.4m、高さは17m、現在では江戸時代を代表する経蔵建築として昭和40年、国の重要文化財に指定されております。

建物の内部、石の基壇中央(きだんちゅうおう)には、八角(はっかく)の輪蔵(りんぞう)(直径は2.95m・重さは3.8t)を置き、『鉄眼黄檗版 一切経(てつげんおうばくばんいっさいきょう)』(6771巻)と納めます。輪蔵とは独楽(こま)のような八面体の構造をしたお経の収納庫で、腕木(うでぎ)を押して回すことで、一切経すべてを読んだと同じ功徳が得られるといわれております。

経蔵の入口、輪蔵手前には傅大士(ふだいし)とその子 右…普建(ふけん)長男と左…普成(ふせい)次男の像が安置されています。この三像は俗に「笑い仏」とも呼ばれています。傅大士は中国南北朝時代、斉(せい)の人で、弥勒菩薩の生まれ変わりともいわれ、特に輪蔵の創案者として知られています。

傅大士の向かって右側入口脇には、釈迦如来とそのお弟子であった大迦葉尊者(だいかしょうそんじゃ)、阿難尊者(あなんそんじゃ)の像が安置されています。中央の釈迦如来は、経蔵安置の像にふさわしく説法の姿を象徴する転法輪印(てんほうりんいん)をとっています。向かって右側の大迦葉尊者は、お経の編集に中心的役割を果たされたと伝えられる方です。左側の阿難尊者は、お釈迦様の説法を聞くことでは右に出るものがないということで多聞第一(たもんだいいち)と呼ばれた方です。

続いて傅大士の向かって左側入口脇をご覧いただきますと、六本の手を持った仏様が安置されています。この像は、観音様の変化身(へんげしん)である六観音のひとつで、如意輪観音(にょいりんかんのん)と申し上げます。如意宝珠(にょいほうじゅ)の数珠、蓮華などを手に持ち、衆生の様々な願いを叶えるために思惟(しゆい)の姿をとっておられるのが特徴で、平安時代以降わが国でも広く信仰を集めた仏様です。

経蔵の奥をご覧いただきますと、向かって右側には、天台宗の宗祖伝教大師最澄(でんきょうだいしさいちょう)の像が、左側にはそのお弟子、天台三世座主 慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)像が安置されています。ともに、平安時代、中国に渡り、命がけで仏教の教えを日本に伝え、その後の日本仏教の礎を築かれた方たちです。

経蔵前の輪廻(りんね)塔は、南無阿弥陀仏の六字を刻んだ石の輪を回すことで功徳を積み、極楽往生ができると言い伝えられています。

若干ではございますが、ご参詣のよきご縁にこのお堂について解説させていただきました。