善光寺の宿坊でも御朱印をいただくことができます
善光寺と言えば「御朱印」と言われるほど、善光寺の参拝と御朱印集めは切り離すことができないほど。
ところで、善光寺の御朱印と言えば、善光寺のほか、大勧進・大本願・釈迦堂だけと思っていませんか。
実は、善光寺の宿坊でも御朱印をいただくことができるのです。
善光寺の宿坊について
宿坊とは、宿泊施設のことです。
善光寺には、天台宗の宿坊25院と浄土宗の宿坊14坊の合わせて39の宿坊があります。それぞれの宿坊には個性や特徴があり、宿泊はもちろん、趣向を凝らした精進料理を楽しむことができます。
また、宿坊には専属の公認案内人がいて、善光寺参拝の醍醐味といえる「お朝事」への参拝や、善光寺境内にある建物や史跡・歴史などの詳しい説明をしてもらうことができます。
宿坊ごとの御堂
善光寺の宿坊には、どの宿坊にも御堂(仏像を安置したお堂)があります。それぞれの宿坊に御本尊が安置され、住職がいるのです。
宿坊の住職は、御堂のほかに善光寺如来への奉仕・護持に勤め、また、全国から訪れる参拝者への世話をしているということです。
院と坊
善光寺は無宗派ですが、現在は大勧進と大本願が共同して善光寺の管理・運営を担っています。
大勧進は天台宗一山の本坊であり、善光寺にある39の宿坊のうち「院」の付く25の宿坊が天台宗です。言い換えれば、大勧進下に25院の宿坊があるということです。
一方、大本願は浄土宗の本坊であり、14の「坊」の付く宿坊が浄土宗です。大本願下に14の坊があるということになります。
天台宗の25院
- 薬王院(やくおういん):御本尊【阿弥陀如来】
- 光明院(こうみょういん):御本尊【虚空蔵菩薩】
- 常徳院(じょうとくいん):御本尊【不動明王】
- 最勝院(さいしょういん):御本尊【薬師如来】
- 徳寿院(とくじゅいん):御本尊【文殊菩薩】
- 本覚院(ほんがくいん):御本尊【善光寺如来】
- 長養院(ちょうよういん):御本尊【聖観音菩薩】
- 宝林院(ほうりんいん):御本尊【阿弥陀三尊】
- 良性院(りょうしょういん):御本尊【准胝観世音菩薩】
- 寿量院(じゅりょういん):御本尊【日月不動尊】
- 善行院(ぜんぎょういん):御本尊【聖観音菩薩】
- 玄証院(げんしょういん):御本尊【阿弥陀如来】
- 甚妙院(じんみょういん):御本尊【延命地蔵尊】
- 常行院(じょうぎょういん):御本尊【善光寺如来】
- 玉照院(ぎょくしょういん):御本尊【聖観音菩薩】
- 円乗院(えんじょういん):御本尊【五智如来】
- 威徳院(いとくいん):御本尊【普賢菩薩】
- 常住院(じょうじゅういん):御本尊【大日如来坐像】
- 世尊院(せそんいん):御本尊【釈迦涅槃像】
- 蓮華院(れんげいん):御本尊【弁財天像】
- 尊勝院(そんしょういん):御本尊【当麻曼荼羅】
- 常智院(じょうちいん):御本尊【大日如来】
- 教授院(きょうじゅいん):御本尊【三宝荒神像】
- 吉祥院(きちじょういん):御本尊【弘法大師】
- 福生院(ふくしょういん):御本尊【阿弥陀如来】
浄土宗の14坊
- 堂照坊(どうしょうぼう):御本尊【庚申青面金剛像】
- 堂明坊(どうみょうぼう):御本尊【弁財天】
- 白蓮坊(びゃくれんぼう):御本尊【八祖大師像】
- 正智坊(しょうちぼう):御本尊【阿弥陀如来】
- 兄部坊(このこんぼう):御本尊【延命地蔵菩薩】
- 淵之坊(ふちのぼう):御本尊【阿弥陀如来】
- 常円坊(じょうえんぼう):御本尊【阿弥陀如来】
- 随行坊(ずいぎょうぼう):御本尊【阿弥陀如来】
- 徳行坊(とくぎょうぼう):御本尊【綱引阿弥陀如来】
- 浄願坊(じょうがんぼう):御本尊【聖徳太子立像】
- 正信坊(しょうしんぼう):御本尊【円光大師法然上人像】
- 野村坊(のむらぼう):御本尊【阿弥陀如来】
- 鏡善坊(きょうぜんぼう):御本尊【阿弥陀如来】
- 向仏坊(こうぶつぼう):御本尊【大日如来】
御朱印がいただける宿坊
善光寺にある39の宿坊すべてで御朱印がいただけるわけではありません。
時期やタイミングによっても異なります。
善光寺公式サイトによると、2022年4月時点で16の宿坊が御朱印を頒布しているとしています(ただし、実際にはここで紹介されている宿坊でも、時期によっては御朱印をもらうことができない場合や、ここでは紹介されていないが御朱印をいただくことができる宿坊もあります)。
- 12の院:徳寿院・本覚院・長養院・良性院・吉祥院・常智院・福生院・尊勝院・蓮華院・世尊院・常住院・玄証院
- 4の坊:浄願坊・白蓮坊・兄部坊・淵之坊
また、ながの観光コンベンションビューロー発行のパンフレット「善光寺御開帳へ行こう(2022)」によると、14の宿坊で御朱印が頂けると記載があります。
- 10の院:徳寿院・本覚寺・長養院・良性院・吉祥院・常智院・蓮華院・世尊院・常住院・玄証院
- 4の坊:堂明坊・白蓮坊・兄部坊・淵之坊
2022年の御開帳期間中にすべての宿坊を回り、御朱印の頒布を行っているかどうかを確認したところ、1720(5月10日時点)の宿坊で御朱印をいただくことができました。
善光寺の宿坊で御朱印をいただく際のポイント
善光寺の宿坊で御朱印をいただく際の注意点をまとめておきます。
時期とタイミングによりいただけない場合がある
普段は御朱印をいただくことができる宿坊が、御開帳などの大きな行事の際には御朱印頒布を休止するケースがあります。逆に、いつもは頒布していないけれど、御開帳など特別な時だけ御朱印を頒布するというケースも見られます。
また、宿泊客で混雑する忙しい時間帯や、住職がお勤めによる不在で書き手がおらず、御朱印をいただくことができない、ということもあります。
絶対に御朱印が欲しいという宿坊がある場合には、事前に問い合わせを行っておくのが安全です。善光寺公式サイトにすべての宿坊の連絡先が掲載されています。
御本尊への直接参拝ができない場合がある
すべての宿坊に御本尊が安置されています。しかし、御堂が行事で利用されている場合や利用の予定がある場合には御本尊への直接参拝を行うことができません。
神社仏閣によっては「参拝後」でないと御朱印をいただくことができない、というルールを設けているところもありますが、善光寺の宿坊でそのような説明をされたことはありません。
御本尊への参拝ができないこともあるということを事前に知っておいてください。また、そのような場合であっても、御朱印をいただくことはできます。
帳面書きはいただけないことがある
宿坊によっては、そもそも紙札(書き置き)のみの頒布というところがあります。
また、限定御朱印や特別御朱印は紙に特殊性(カラーや大きさなど)がある場合が多く、限定・特別な御朱印に関しては書き置きのみの頒布というケースもあります。
通常は帳面書きを行っているが、住職等が不在のため書き置きの対応となったり、新型コロナウイルス感染症の影響で帳面書きを控えている、という宿坊もあります。
帳面書きにこだわる方は事前に確認した方が良いです。
頒布の時間と御朱印料は宿坊によって異なる
宿坊には、たいていどの時間帯でも人が常駐しています。
しかし、御朱印をいただける時間は宿坊によってバラバラですので注意してください。
昼間の時間帯であれば問題ないと思いますが、早朝や夕方は注意が必要です。
また、御朱印料(御朱印の価格)ですが、1枚あたり300円~600円というところが多いです。
ほとんどの宿坊では、1枚か2枚程度の御朱印を頒布していますが、中には10枚以上の御朱印をいただくことができるところもあります。御開帳など行事の際には、限定御朱印や特別御朱印というように、普段は頒布していない御朱印をいただくこともできます。
宿坊の御朱印紹介
実際にいただいた御朱印を紹介します。
現時点(2022年5月10日)で20の宿坊から御朱印をいただくことができています。
定期的に善光寺参拝をしていますので、新たに御朱印をいただいた宿坊があれば順次追加していきます。
徳寿院(とくじゅいん)
徳寿院の御本尊は文殊菩薩ですが、妙吉祥とは文殊菩薩のことです。
本覚院(ほんがくいん)
本覚院の御開帳特別御朱印です。
長養院(ちょうよういん)
長養院の御本尊である聖観音の御朱印です。
良性院(りょうしょういん)
良性院の御開帳限定のご朱印「準提堂」です。
福生院(ふくしょういん)
福生院のご朱印「善光堂」です。他にも複数の御朱印をいただくことができます。
吉祥院(きちじょういん)
吉祥院の御朱印「弘法大師」です。
尊勝院(そんじょういん)
尊勝院の御朱印「曼荼羅堂」です。
蓮華院(れんげいん)
蓮華院の御朱印は弁財天です。
世尊院(せそんいん)
世尊院の御本尊である「釈迦涅槃如来」です。世尊院ではたくさんの御朱印をいただけます。
常住院(じょうじゅういん)
常住院の御朱印「大日如来」です。他にもたくさんの御朱印を頒布しています。
玉照院(ぎょくしょういん)
玉照院の御朱印「善光寺聖観音」です。
甚妙院(じんみょういん)
甚妙院の御朱印「地蔵尊」です。
寿量院(じゅりょういん)
寿量院の御朱印「日月不動産」です。
淵之坊(ふちのぼう)
淵之坊の御朱印「縁起堂」です。
兄部坊(このこんぼう)
兄部坊の御朱印は御本尊である延命地蔵尊です。
白蓮坊(びゃくれんぼう)
白蓮坊の御朱印は「むじな地蔵」です。白蓮坊の御本尊ではありませんが、むじな地蔵が有名です。
浄願坊(じょうがんぼう)
浄願坊の御朱印は「太子堂」です。
堂明坊(どうみょうぼう)
堂明坊の御朱印は「弁財天」です。
正智坊(しょうちぼう)
正智坊の御朱印は「阿弥陀如来」です。
玄証院(げんしょういん)
玄証院の御朱印は「玄証院」です。
2022年善光寺御開帳の御朱印
善光寺には宿坊以外に、善光寺・大勧進・大本願・釈迦堂(世尊院)でもさまざまな御朱印をいただくことができます。
特に、七年に一度の御開帳時には普段は頒布されることのない限定御朱印・特別御朱印が頒布されていますので、気になるものがあればぜひともいただいておくと良さそうです。