中日庭儀大法要とは
中日庭儀大法要は、「ちゅうにていぎだいほうよう」と読みます。
善光寺の御開帳では期間中にさまざまな行事が執り行われますが、それら行事の中でも最も重要なものとされているのが中日庭儀大法要です。
中日庭儀大法要は、前立本尊を讃えるために行われる法要で、御開帳期間中の法要の中で最大規模で行われます。
善光寺を護持する天台宗(大勧進)と浄土宗(大本願)がそれぞれ回向柱の前及び本堂内で行うことになっており、2022年の御開帳では次の日程で行われました。
- 中日庭儀大法要(浄土宗) 2022年4月23日(土)
- 中日庭儀大法要(天台宗) 2022年5月7日(日)
この順番は御開帳ごとに入れ替わることになっています。
このページでは中日庭儀大法要・天台宗について紹介します。中日庭儀大法要・浄土宗については、関連記事をご覧ください。
中日庭儀大法要は善光寺御開帳のハイライトとも言われ、今回は後半に行われた天台宗(大勧進)の中日庭儀大法要が2022年善光寺御開帳の最大の人出になったものと考えられます。
当日の様子ですが、人垣ができており、場所によっては身動きが取れない状況となっていました。
大勧進から出てくる行列を待ち受ける参拝者の様子ですが、まさに「人垣」です。
2022年善光寺御開帳の最大の人出
後方からでは前はほとんど見えない状況にあります。
なお、本堂前(回向柱周辺)も多くの参拝者が待機しており、回向柱周辺で待ち構える参拝者は朝5時頃から並んでいたというぐらいです。
中日庭儀大法要は、行列が10時に大勧進を出発してから執り行われるものなので、本堂前からの法要は10時頃からの執行です。そのため、より良い場所で中日庭儀大法要を見られた参拝者は、5時間以上も待ち続けていたということになります。
そこまでしても間近で見たい、というのが中日庭儀大法要なのです。
中日庭儀大法要・天台宗の時間
次回以降の善光寺御開帳での参拝で役立つように、2022年の中日庭儀大法要の流れをまとめておきます。
- 10時00分~ 行列が大勧進を出発
- 10時30分頃~ 回向柱前で法要
- 10時50分頃~ 本堂回廊での散華
- 11時頃~ 本堂内での法要
- 12時頃~ 行列が本堂を出発し、釈迦堂(世尊院)へ向かう
- 12時30分頃~ 釈迦堂(世尊院)内で法要
- 12時45分頃~ 行列が釈迦堂を出発し、大勧進へ向かう
- 13時頃 行列が大勧進へ戻る
【動きによるメモ】
※中日庭儀大法要の当日は、9時頃~13時頃まで回向柱に触れることや本堂での内陣参拝・お戒壇巡り・ご印文頂戴は行っていませんので注意が必要です
※散華をいただくためには、回向柱周辺の前列で法要参拝を行うか、本堂回廊での散華に回廊の前列で待つ必要があります
中日庭儀大法要・天台宗の見どころ
中日庭儀大法要と言えば「朱色の傘(赤い傘)」を思い浮かべる人も多いかもしれません。
10時に大勧進を出発した行例は左折し、山門を抜けて回向柱の前で庭儀法要が行われます。
朱色の傘がさしかけられた僧侶たち、蓮の花びらをかたどった五色の散華が舞う光景は、回向柱の前に「極楽浄土」が再現され、独特な世界観を感じることができます。
回向柱前での法要が行われると、次は本堂での法要や回廊での散華が行われます。
本堂での法要後は、本堂を後にした行列は山門を抜けて直進し左折、釈迦堂(世尊院)で法要が執り行われます。
釈迦堂には、釈迦涅槃像が安置されており、釈迦涅槃像の右手と結ばれた回向柱(供養塔)が建立されています。善光寺御開帳において、釈迦堂に建立された回向柱も重要な意味を持っています。
釈迦堂での法要後、左手のコースで仁王門前で右折し、大勧進前まで戻るというルートになります。
2022年の中日庭儀大法要・天台宗(大勧進)では、
・行列はいつもの4分の1程度の規模へと縮小
・回廊での散華は本堂に向けて行う(つまり、原則として参拝者は散華をいただくことができない)
・釈迦堂法要後のルートは、来た道をそのまま戻る(延命地蔵尊を右手に行くコース)
という点が、新型コロナウイルス感染症の影響で変更されていたようです
2022年5月7日中日庭儀大法要・天台宗の様子
2022年5月7日は大型連休の後半にあたり、晴天でした。
前半は雨の日が続いていたため、天候が心配されたのですが、中日庭儀大法要・天台宗が行われる日は暑いぐらいに太陽が出ていました。
行列が大勧進を出発
中日庭儀大法要・天台宗の行列が大勧進を出発するのは10時予定ですが、早くから大勧進周辺には参拝者が待ち構えています。
行列が大勧進を出発した10時、一斉に参拝者が写真を撮影し出します。
大勧進付近は、行列と参拝者によって人垣ができています。
多くの参拝者が中日庭儀大法要・天台宗を待ち望んでいたことが分かります。
行列の戦闘が山門に向けて進み、山門を抜けていきます。
朱色の傘が見えてきました。
朱色の傘は、僧侶に差し掛けられたものです。
天台宗には多くの院があるため、朱色の傘も浄土宗より多くなっています。
法衣・仏具
中日庭儀大法要で僧侶が身に付けている法衣・仏具は特徴的だと言われています。
天台宗で特徴的なものは、袍裳(ほうも)と呼ばれる法衣です。上下に分かれており、下の袴が巻きスカートのようになっています。これは、僧侶が宮中に出入りするときに着用したものとされています。
また、履物は草鞋(そうかい)と呼ばれるものです。木製の紙ポックリのようなもので、屋外で用いられます。同じく、屋内で用いられるものは鼻高(びこう)と呼ばれています。
山門に向かう行列
朱色を差し掛けられた僧侶が山門を抜け、本堂前に入っていきます。
本堂前で中日庭儀大法要の行列を見守る参拝者。
回向柱に到着する行列
回向柱に向かって行列が進んでいきます。
回向柱周辺はすごい参拝者の数です。
人垣となっており、後ろからは回向柱前の様子はほとんど見えない状況です。
籠の中には、大勧進の栢木寛照大僧正(貫主)がお乗りになっています。
大勧進の栢木寛照大僧正が回向柱の前に進んでいきます。
回向柱前で営まれる法要
大勧進の栢木寛照大僧正による法要が回向柱前で始まりました。
回向柱前の法要での散華。
散華が飛んでいるのが分かります。
回向柱前での法要を終え、本堂へ入ります
本堂での法要と回廊での散華
本堂の回廊では僧侶が散華を撒いています。
いつもは、回廊を取り囲む参拝者に向けて散華を行うのですが、2022年善光寺御開帳においては、新型コロナウイルス感染症の影響で散華を本堂に向けて行うようになっていました。
そのため、回廊で参拝していても散華をいただくのは難しい状況でした。
とはいえ、風に乗って散華が参拝者に向けて飛んでくることがあり、その際には争奪戦になっていました。
散華とは
法要時に撒かれるのが散華(さんげ)です。
散華は悪い鬼神を払って場を清め、仏様を招来するためにあります。
御開帳期間中に撒かれる散華は五色のもので、散華の裏側には「前立本尊」「御開帳」と書かれたものが使われます。
散華は多くの参拝者が望むものです。
風で舞う散華を受け取る参拝者。
中日庭儀大法要では、回向柱前での法要の際に多くの散華を撒きます。
前列で様子を見守っていれば、運よく風に乗って舞ってきた散華を受け取ることができる可能性があります。
法要後、回向柱周辺には散華が石畳にたくさん残っていますが、規制内のものはすべて回収されてしまいます。
御開帳時に撒かれる五色の散華は、善光寺で買い求めることができます。
ただし、散華単体では頒布されておらず、御朱印セットの中に五色の散華が含まれる形となっていますので、散華がいただきたいという場合には御朱印所で御朱印セットを買い求める必要があります。
釈迦堂へ向かう行列
善光寺本堂での法要が終わると、行列は釈迦堂(世尊院)での法要に向けて本堂を出発します。
山門を出た行列は、大勧進にそのまま戻らず、山門を直進して仲見世通りを進んでいきます。
多くの参拝客が行列を見守っています。
釈迦堂で待ち受ける大勢の参拝者。
釈迦堂(世尊院)での法要
釈迦堂に大勧進の栢木寛照大僧正が到着し、堂内で法要が営まれます。
釈迦堂での法要を終え、大勧進に向かう行列。
大勧進へ向かう行列
通常は、釈迦堂を出て仲見世通りを左手に進み、仁王門手前を右に曲がって大勧進に戻るのですが、2022年の善光寺御開帳中日庭儀大法要では、釈迦堂を出て仲見世通りを右手に進み、いわば来た道を通るかたちで大勧進に戻るコースでした。
中日庭儀大法要・天台宗を参拝してみて
善光寺御開帳で最も重要かつ最大の行事ともあって、大勢の参拝者が当日は参加していました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、いつもの御開帳よりは少しスケールダウンしてしまったこと、散華などに制限がされたこと、など、様子の違う部分もありましたが、これらの対策によって事故もなく、安全な中日庭儀大法要が執り行われたものと言えます。
善光寺御開帳はまだまだ始まったばかり。
中日庭儀大法要が行われた後は大きな混雑もなく、参拝しやすいと言えます。