前立本尊が御宝庫にお還りになる「前立本尊御還座式」
2022年4月3日から始まった88日間に及ぶ善光寺御開帳は、6月29日をもって幕を閉じました。
そして、御開帳最終日の翌日である6月30日には、本堂に安置されていた前立本尊が御宝庫にお還りになる前立本尊御還座式が行われました。
前立本尊は、御開帳の時にだけ善光寺の本堂に移されますが、普段は善光寺大勧進の御宝庫に安置されています。
前立本尊が御宝庫にお還りになる儀式が前立本尊御還座式であり、これをもって前立本尊様とは、次回の御開帳までお別れすることになります。
2022年6月30日の前立本尊御還座式の様子を紹介します。
2022年6月30日善光寺御開帳:前立本尊御還座式
記録的な猛暑となった2022年の6月ですが、6月30日は午後12時の段階で33.1度の気温でした。
猛暑の中ではありましたが、多くの参拝者が前立本尊とのしばしのお別れを惜しむかのように、本堂前に集まっていました。
本堂前で前立本尊がお還りになるのを待つ参拝者の姿です。
平日ということもあって人垣ができるほどではありませんが、それでも猛暑の中でじっと待ち続ける参拝者を見ていると、善光寺御開帳の有難さは独特であるといえるでしょう。
本堂から前立本尊が安置された輿が出てきました。
前立本尊が安置された輿が回向柱の前を通っていきます。
白装束の男性が担ぐ輿はかなりの重量があるのか、大人数で担いでおり、ゆっくりゆっくりと進んでいきます。
白装束の男性が担ぐ輿は2つあります。
先頭の輿は前立本尊が安置されており、後ろの輿には御印文が安置されています。
御印文は善光寺の宝印で、絶対秘仏の御本尊と同じ「閻浮檀金(えんぶだごん)」という竜宮城に存在する最高級の金塊でできていると言われています。
善光寺の御開帳では地味な存在ですが、「御印文頂戴」は本来は正月の特定期間だけ行われているもので、御開帳では毎日行われていることからもわかるように、御開帳にとって御印文(宝印)は非常に重要なものとされています。
6月末の平日とはいえ、多くの参拝者が前立本尊がお還りになる様子を見守っていました。
前立本尊と御印文が安置された2つの輿は、大勧進へと運ばれました。
この後、大勧進の敷地内にある御宝庫まで運び、厨子の扉が封印されて前立本尊御還座式の儀式は終了します。
これで2022年善光寺御開帳の行事はすべて終了となりました。
なお、6月30日の時点では回向柱はまだ建立されたままですが、数日内に回向柱は本堂前から回向柱奉納場所へと移されることになります。
追記(2022年7月5日)
本堂前に建立されている回向柱は、9月末までそのまま安置されるということです。前立本尊の右手と結ばれていた善の綱(布)は取り除かれていますが、触れることもできるようです。