【2022年】善光寺御開帳のお戒壇めぐり!錠前の形と探し方

2022年善光寺御開帳でのお戒壇めぐり



お戒壇めぐりとは何でしょうか?

善光寺と言えば「お戒壇めぐり」が有名です。

お戒壇めぐりはさまざまな説明がされることがあるのですが、次の説明が分かりやすいため引用します。

お戒壇めぐりとは、瑠璃壇床下の真っ暗な回廊を巡り、ご本尊の下にかかる極楽の錠前に触れて、秘仏のご本尊と結縁を果たすための道場とされています。

出所:よくわかる善光寺参り、善光寺事務局監修、チクマ秀版社

道場という言葉の通り、お戒壇めぐりは本当に真っ暗な道を進んでいくことになり、泣き出す子供おも多くいます。

通常、光がなくても一定時間その場にいれば目が慣れてぼんやりと様子が分かるものですが、善光寺のお戒壇めぐりで進む回廊は完全な暗闇となっているため、いつまでその場にいても目が慣れるということはありません。

そのため、壁に手を当て続けながら、壁に沿って歩かざるを得ないわけで、その意味では道場としての性質があるように思います。

お戒壇めぐりは疑似的な死

一説には、お戒壇めぐりは真っ暗な回廊をめぐることで「疑似的な死」を体験するのだとも言われています。

善光寺の創設者は善光ですが、その息子である善佐(よしすけ)が一度死んで地獄に堕ちながらも、阿弥陀如来の力によって蘇るという話が善光寺縁起の中に登場します。善光寺のお戒壇めぐりは、この善佐の体験を追体験する「装置」であるとも言われています。

また、暗闇を象徴的な死として捉え、阿弥陀如来との結縁の後に再生する擬死再生の場、として捉えることもできると言われます。いわば、阿弥陀如来の胎内を通って再生する場、として考えているわけです。

お戒壇めぐりを実際に行ってみると分かりますが、暗闇を抜けて明かりに触れた時に体感できる感覚は、充実した達成感なのです。

お戒壇めぐりの場所

善光寺本堂内の内陣
出所:善光寺御開帳公式ハンドブック

善光寺のお戒壇めぐりは、内々陣の床下にあります。

善光寺の御本尊が安置されている瑠璃壇と御三卿の間の床下に部屋があり、その部屋を「ロ」の字型にめぐる暗黒の回廊を進んでいきます。

上のイラストに引いた黄色部分がお戒壇めぐりのルートです。上から回り込むように進みますので、最初は御三卿の間を通過し、次に御本尊の下を通過し、前立本尊の下あたりを通過して戻ってくることになります。

真っ暗闇を壁伝いで歩くため、長い距離を歩くように感じるのですが、全体の長さは44.8mであると言われています。

お戒壇めぐりのやり方

出所:善光寺御開帳公式ガイドブック

お戒壇めぐりは、真っ暗闇の中を進んで、御本尊の真下にある極楽の錠前に触れることが目的です。

真っ暗闇のため、壁伝いで歩かざるを得ません。善光寺のお戒壇めぐりでは、右手を壁に触れながら歩くようにします。また、手の高さは「腰の位置」としてください。

お戒壇めぐりを終えた人が「極楽の錠前に触れることができなかった」と言って、再度、お戒壇めぐりを行う様子を何度も見ていますが、次のポイントを遵守しないことが理由です。

1.右手を壁に当てながらゆっくり歩く
2.壁に置く手は腰の位置にする

御本尊の下まで行くと、床下の部屋の入口があり、仏具の独鈷(とっこ)の形をした頑丈な鍵があります。その鍵に触れることで、御本尊(阿弥陀如来)と結縁を結ぶことができます。

極楽の錠前の形

極楽の錠前は次のような形をしています。

善光寺のお戒壇めぐりで触れることのできる極楽の錠前
出所:まんがぜんこうじさん、善光寺事務局

大人が握ることのできる大きさであり、そう考えるとそれなりの大きさがあることが分かると思います。

鍵は左右に動かすことができますので、ただ触れるだけではなく、動かしてみると良いでしょう。

真っ暗闇の中でこの錠前だけがポッと壁に取り付けてあります。腰よりも高い位置で壁に手をついていくと錠前の上を手が通過してしまい、気付くことができません。腰よりも下も同様です。

錠前に触れるためのテクニックには次のようなものがあります。

錠前の鍵に触れるためには、壁に触れている手を常に「上下に動かしながら」歩くのがおすすめです。管理人はいつもこの方法でお戒壇をするようにしていますが、錠前の鍵に触れられなかったことはありません。

お戒壇の地下室には何があるか

お戒壇めぐりは、御本尊が安置されている瑠璃壇と御三卿の間の床下の部屋にある回廊をめぐるものです。

ところで、お戒壇の地下室(床下の部屋)には何があるのでしょうか。

敗戦後、進駐軍(占領軍)は、武器類の摘発に力を入れたといわれており、長野市に進駐したモロイ中佐一行は、昭和二十年(1945)十一月二十六日、お戒壇めぐりの地下室の中を調査しました。

一行四名は(中略)靴履きのまま階段を下りた(いままで一切の灯火が禁ぜられた回廊を提灯で照らして歩いた)。ちょうど中ほどまで来た時(中略)錠がキラキラと眼を射るやうに照らし出され(中略)、同中佐は「この錠を開けて中を見せよ」と命じた。その意図はこの扉の中に日本刀や武器類が隠匿してあるかどうか検分するためであるといふ。(中略)その錠を外して扉を開くや、一行はかわるがわる顔を覗かせる。内部は上部に梁一本見えるだけで大きな家の縁の下を板囲いしたのも同様で、ただ何もなくガランとした空洞となっているのに拍子抜けしたやうな面持ち(中略)約二十分で引き上げて行った」(昭和二十年十一月二十七日付信濃毎日新聞)

出所:善光寺さん、信濃毎日新聞社

錠前の向こうには何もない、ということのようです。

2022年御開帳時のお戒壇めぐり

お戒壇めぐりは、「内陣参拝」とセットと考えてください。

前立本尊への参拝時には内陣に入ることができるのですが、お戒壇めぐりは前立本尊への参拝が終わって内陣を後にするところに入口があります。

したがって、前立本尊に参拝した後にそのままお戒壇めぐりに進むことになります。なお、前立本尊への参拝後にお戒壇めぐりをするかどうかは自由であり、足腰の悪い方は無理にお戒壇めぐりを行う必要はありません。

2022年善光寺御開帳参拝券

前立本尊・お戒壇めぐり参拝券を単独で購入するか、その他の諸堂も参拝することができる御開帳参拝共通券を購入するか、いずれかの参拝券が必要となります。

待ち時間ですが、2022年御開帳は分散参拝の呼びかけや御開帳期間が延長されたこともあり、いつもの御開帳ほどには混雑していません(ただし、4月下旬から5月上旬の大型連休はそれなりに混雑することが予想されます。

2022年御開帳初日のお戒壇めぐりの様子

2022年御開帳初日のお戒壇めぐりの待ち行列です。

本堂を回り込むように参拝者が並んでいますが、初日ということで混雑しているだけで、普段であれば長くても30分~60分ぐらいの待ち時間だと思います。

お戒壇めぐりは、前立本尊参拝のおまけというようにも受け取れてしまうかもしれませんが、実際には大変意味のある体験です。

新型コロナウイルス感染症対策

お戒壇めぐりは、その性質上、狭い空間の中を手探りで進むことになりますので、感染リスクの観点からお戒壇めぐりを躊躇する方もいるかも知れません。

善光寺では、新型コロナウイルス感染症としてお戒壇めぐりに関して次のような対応を行うこととしています。

※暗所の戒壇内に誘導灯を点灯し、ディスタンスを取りやすくします。
※ご参拝時に触れる壁などを定期消毒します。
※参拝前後に手指消毒をしていただきます。
※密を避けるため、入堂制限を行う場合があります。

誘導灯というのはどの程度の明るさなのでしょうか。

2022年4月3日の御開帳初日にお戒壇めぐりを体験してきましたが、誘導灯はぼんやりした灯りなので、暗い空間であることに違いはありませんから、がっかりするほどの明るさではないと思います。

新型コロナウイルス感染症については、極力接触を減らすことでの対応が行われています、安心してお戒壇めぐりに参加することができるのではないでしょうか。

どうぞ、極楽の錠前を探し当ててください。