ついに善光寺本堂前に回向柱が建ちます
善光寺の御開帳といえば、本堂前に建立される「回向柱」がシンボルとも言える存在で、その大きさには圧倒されます。
3月27日の回向柱受入式では、松代町から善光寺へ回向柱が無事に奉納されました。
回向柱受入式の様子はこちらで紹介しています。
奉納された回向柱を本堂前に建てるのが、回向柱建立式です。
善光寺御開帳の2日前となる2022年4月1日に行われました。
回向柱の建て方
45センチ角で高さ10メートル、重さ10トンもある杉の回向柱はどのように本堂に建てられるのでしょうか。
実は、昔ながらの人力による古式の技によって建てられるのです。
善光寺本堂前に建てられているのは、回向柱ではありません(この写真は、回向柱が建てられる前のものです)。
二本の丸太は回向柱を支えるための支柱です。
回向柱は大香炉の前に移された後、せみ竿に支えられ、二本組み合わせた丸太の支柱から滑車を吊り下げて回向柱に繋がれます。
その後、職人が神楽棧(かぐらさん)を廻すことで、回向柱を引き上げていきます。
神楽棧(かぐらさん)はいわばウインチの役割を担うもので、木製のウインチです。
今回は4人の職人が廻していました。言い換えれば、4人の人力だけで10トンの回向柱を建てる仕組みが、古式の人力技ということになります。
回向柱建立式
2022年4月1日(善光寺御開帳の2日前)は晴天でしたが、気温はたいへん低い状況でした。厚着をして、手袋をしていれば問題ありませんが、薄着では10分も立ちすくんでいれば凍えてしまうほどの寒さでした。
住職が本堂前に入る
2022年4月1日、13時の開始に向け、数分前に住職が本堂前に入りました。
先に善光寺大本願のお上人様(今回は、副住職)が本堂前に向かいました。
参拝客は合唱してお迎えしています。
続けて善光寺大本願の貫主様(今回は副住職)が本堂前に向かいます。
参拝客は合唱して迎えます。
善光寺本堂前に善光寺大本願の住職、善光寺大勧進の住職、一山の住職が入りました。
木遣りが本堂へ入る
木遣りが本堂前に入ってきます。
回向柱
木遣りに続いて回向柱が本堂前に運ばれてきました。
回向柱受入式では、車の上に載せられていましたが、回向柱建立式では回向柱を複数の職人が抱えています。
本堂前にある大香炉前に回向柱が運ばれました。
二本の支柱から吊り下げられた滑車に回向柱が取り付けられました。
いよいよ回向柱が建ちあがっていきます。
神楽棧を廻して回向柱が建ちあがる
回向柱は昔ながらの伝統的な方法で建ちあげられていきます。
その要である神楽棧(かぐらさん)がじわじわと廻されていくことで、回向柱が建ち上がっていきます。
木遣りの声に合わせるように神楽棧が廻されていきます。
ここまでで、かなり建ち上がってきています。
回向柱が建ち上がる様子を、住職と参拝者が見守っています。
しかし、この時13時30分ぐらいでしたが、寒くて寒くて。現場にいる人は凍えて見ていたというのが実情です。
ほぼ建ち上がった回向柱を固定していきます。
根元の部分に添え木などを入れながら固定していくのですが、角度によっては斜めになっている箇所があり、微調整を繰り返しながら垂直になるようにしていきました。
四方からの確認や指示が飛びあっていました。
これが最後の固定作業です。
回向柱は完全に垂直に建ち上がっています。
職人が回向柱から手を放しても、回向柱は倒れることはありません。
回向柱が垂直に自立して建っています。
読経
建立された回向柱に住職が進み、読経を行います。
住職の読経後、関係者の挨拶が行われ、回向柱建立式は無事に終わりました。
回向柱建立式では、回向柱を包んでいる白い布はまだ取り除かれません。したがって、回向柱に書かれた文字など、回向柱そのものの姿を見るのはお預けとなります。
住職が戻る
回向柱建立式が終わり、住職が戻ります。
善光寺大勧進の副住職が先に本堂を後にします。
大勧進の副住職の後、善光寺大本願の副住職が本堂を後にします。
大香炉の前の石畳は穴が開けられているようで、その中にスポッと回向柱がはまり込んでいるようです。
結構な長さが入っているのか、しっかりと固定されています。
回向柱建立式後も、回向柱の微調整が行われていました。
回向柱を覆っている白い布は、善光寺御開帳前日となる4月2日の前立本尊御遷座式・回向柱開眼法要で取り除かれることになります。
本堂前にそびえたつ回向柱。
いよいよ善光寺の御開帳が始まるという期待感が高まる、やはり回向柱は御開帳のシンボルといえる大きな存在なのです。