古くからある善光寺にはたくさんの人が訪れています。中でも、俳句で著名なのは松尾芭蕉と小林一茶であり、善光寺を参拝し句を残しています。
松尾芭蕉の句
「月影や 四門四宗も 只一つ」
これは、松尾芭蕉による句です。
松尾芭蕉が貞享5年(1688)に、善光寺を参拝した際に詠んだ句です。この旅の様子は「更級紀行」に記されています。
句の内容としては、夜空の月に託してあらゆる宗派が集まっている善光寺の特徴を詠んだもので、無宗派の善光寺を物語るものです。(善光寺は一宗一派にかたよることなく、すべての宗派に門戸を開く、宗派を超えたお寺です)
小林一茶の句碑
小林一茶は信濃・柏原(信濃町)の出身ですから、善光寺とはとても近い存在です。そのため、善光寺に関しては多くの句を残しています。
有名なものでは、 「春風や 牛に引かれて善光寺」 「開帳に逢ふや 雀もおや子連れ」 などがあり、この2つの句は善光寺の本堂東の碑に刻まれています。(写真がその碑です)
夏目漱石の句碑
夏目漱石も善光寺を参拝しています。
善光寺の本堂東には、夏目漱石の句碑があります。
「生きて仰ぐ 空の高さよ 赤とんぼ 漱石」
種田山頭火の句碑
俳人として有名な種田山頭火も、善光寺を参拝しています。善光寺本堂の東には種田山頭火の句碑があります。
「八重ざくらうつくしく 南無観世音菩薩像 すぐそこでしたしや 信濃路のかっこう」
井上井月の句碑
井上井月は、善光寺を気に入ったようで度々参拝しています。
井上井月の句碑には次のように書かれています。
「思ひよらぬ梅の花みて善光寺」「蝶に気のほぐれて杖の軽さかな」
なお、井上井月の句碑は2012年に建立されたものであり、比較的新しいものといえるでしょう。
他にも、良寛が参拝していますし、正岡子規も善光寺を訪れています。
正岡子規は、明治の大火の年に参拝し、「あれ家や茨花さく臼の上」という句を詠んでいます。
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