「牛に引かれて善光寺まいり」とは善光寺の有名な昔ばなしです。しかし、言葉は聞いたことはあるものの、意外とその内容は知られていないようです。ここで、ご紹介しておきましょう。
善光寺昔話「牛に引かれて善光寺参り」
善光寺の昔ばなしの中で有名な「牛に引かれて善光寺まいり(参り・詣り)」についてご紹介します。
昔、信濃国小諸にケチで性根の悪いおばあさんが住んでいた。
ある日、川で布を洗濯して軒先で乾かしていたところ、一頭の牛が現れて角で布を引っかけ走り出した。おばあさんはその牛を追いかけ、なんと善光寺まで来てしまったという。
日が暮れて牛が入っていったお堂におばあさんも入ってみると、光明に照らされて、牛のよだれが「牛とのみ思いすごすな仏の道に 汝を導く己の心を」と読めた。するとおばあさんの心に仏の心が芽生え、すっかり信心深い人間に生まれ変わってしまった。
後日、近くの観音堂を詣でると、堂内の観音様に牛にさらわれた布がかけてあった。それを見たおばあさんは、牛と思ったのはじつは仏様の化身と知り、ますます善光寺への信仰を深めて往生を遂げた。
この仏様こそが実は小諸の布引観音だったという。
※布引観音 布引観音は、長野県小諸市にあります。小諸駅の西よりにある行基創建という天台宗の名刹。断崖絶壁にかかる観音堂(重文)に安置されているのが、布引観音様です。
善光寺境内案内所の「牛」
善光寺境内にある案内所には、牛のオブジェがど~んと置かれています。これは、牛に引かれて善光寺参りを表していますので、参拝時には確認してみてください。
関連記事
その他の善光寺にまつわるいろいろな話
- 「牛に引かれて善光寺参り」の意味とは?
- 鳩字の額(善光寺の額)に隠れた鳩は何羽?
- 松尾芭蕉や小林一茶も善光寺を参拝!句碑紹介
- 長野市の善光寺と飯田市の元善光寺の両方に参拝しないと片参り?
- 甲斐善光寺と武田信玄の深い関係とは?
- 善光寺本尊は戦国武将の思惑で全国を流転した